財団法人東京プラスチック会館

Tokyo Plastic Kaikan Foundation

 
視察報告

2007年12月11日
                             福榮産業株式会社
                               営業部課長 野村 修


見本市名:
K国際プラスチック+ゴム専門見本市

期間:

2007年10月31日の内  24日〜26日の3日間

目的・主旨:

1)高付加価値プラスチック情報を収集する。
2)業界の将来性と方向性を把握する。

視察報告内容:


1.規模:

出展国 59カ国  出展社3,130社  来場者予測300,000名
参考(2004年53カ国  2,904社   来場者230,978名)
今回で17回目であるが 年々規模は拡大している。
面積は東京ビックサイト243,000平方mと比較して490,000平方mは倍以上であり、来場者は東京ドームを満席にした55,000名の6倍である。第9回自動認識総合展が29,778名で10倍 第64回東京インターナショナルギフトショー秋2007は192,088名で1・5倍、出展社は2,211社で1・4倍である。まさに世界最大級の展示会である。
東京のIPF シカゴのNPEと共に3年に1度の持ち廻りである。

2.主な出展国:

ドイツ 1,197社     中国   156社   アメリカ 142社
イタリア 467社     イギリス 112社   スイス  109社
オーストラリア 89社   スペイン 55社    韓国   48社
日本 27社
上記10カ国 2,491社で全体の80パーセントを占めている。


3.視察:
K国際プラスチック+ゴム専門見本市

【10月24日】:

専用バス(60人乗りで6人はもったいない)で会場へ行く。
開場から1時間  午前10時には既に通路に人があふれていた。
出展分野の60パーセントを占める機械、周辺機器のスピード 大きさ、機械音に圧倒されながらも目的である所の高付加価値フィルム・ シートの情報及びサンプル収集に足を進める。
・シェリング  3メートル幅裁断可能な広幅用大型機械
       (採寸はコンピューター制御の半自動)
・ジーフ    印刷とウェルダーの半自動機
・S・T・C    PP板の印刷 抜き 組み立て等々

日本での実務でも良く見ることができるので親近感を覚える。
規模の大きさに圧倒され 振り回されたと言うのが実感で 明日は会場全てを見て収集すべき情報 サンプルに出会えるよう祈りつつホテルへ帰る。

【10月25日】:

路面電車と一般鉄道を乗り継ぎ会場へ向かう。
車外のゆったりとした情緒ある風景と違い Kに向かう人々は明日のビジネスを夢見、急ぎ足である。
何百mあるのか 終着点の見えない、動く歩道に乗り先ずは会場口から最も遠いところ(17R)から回ることにした。(おかげさまでライン川を会場から観光出来た。)

Kフェアで見られた主な傾向 テーマ

  1. 自動車 自動車部品 航空産業=(軽量で強固な高付加価値樹脂)
  2. 電子産業
  3. 包装=(大量消費型 高速機械)
  4. 医療 製薬=(小型で精密)
  5. IT

【10月26日】:

残念ながら弊社の主力商品であるPVCの高機能フィルム、シート及びその代替品の展示はなかった。下記出展社は数ある中でも、・ブースに人が多数集まっていた。・展示が洗練されおしゃれな感じがした。・特殊な高機能樹脂が使われていた。等、特に目を見張るものがあったので、聞き取り調査を含め個別に記しておく。   
         
<積水化学工業> 
緩衝材 梱包材を含め新素材として用途は自動車関連 土木建築関連
産業資材 生活雑貨等多岐に渡る。

<ダウケミカル>
正面に自動車を展示し何に力点を置いているか一目瞭然である。自動車部品 建築資材が展示されていた。高機能素材であろう
ゆとりある商談風景はとてもおしゃれな感じがした。

<バスフ>     
商談風景は外観デザインが洗練されていて一際目を引いた。
ブースの正面に飛行船が展示されている。航空 宇宙を視野にいれている。優れた大磨耗性、耐油性 耐寒性を生かし自動車、2輪車の外装 内装、エンジン内部で使用されている。射出成型、押し出し成型の部品が多種展示されている。

<メトン> 
トラクターのバンパーが展示されている。
耐油性、耐熱性、耐衝撃性に優れた樹脂を扱っている。


<日本合成化学工業>
ガスバリア性に優れた多層フィルムを食品関連業界向けに生産、
この特徴は建材として床下パイプにも使われている。

<城北化学>
特殊酸化防止剤を窓枠、ペットボトルの原料として使用。

<東レ>
PPとポリ乳酸の複合発泡「エコディア」を発表した。

<カネカ>     
一般PPから生分解性プラスチックに移行する。

<フクダ>
市場は化粧品業界から携帯電話へ移行する。

<デュポン>  
カルレッツを発表。
米国D社が開発した新しいエラストマーである。耐熱性に関してはPTFE(フッ素樹脂)の持つ耐熱性と同等で316℃を誇るものもあり、あらゆるゴム材料の中で最高の耐熱性を示す。
耐薬品に関しては、1800種以上もの化学薬品や有機溶剤に対してその特性を示す。用途としては、化学工業分野、半導体産業、OA機器、自動車分野、エネルギー産業分野、航空宇宙分野に使用されている。

<ソルベール> 
自動車の軽量化及びコストダウンの為POM樹脂が採用されている。
最近のバイオ燃料の採用によりフッ素樹脂との複合化で対応している。

<ゼオン>
COPという新しい樹脂で医療分野の射出商品の展示
他、共重合体系合成で耐油、耐熱性に優れた樹脂を扱っている。
用途は燃料ホース、オイルシール、パッキングベルト、印刷ロール、
安全靴、医療(フラスコ、ビーカー、注射器)等多種多技に渡る。



4.所感:

出展国156社を誇る中国のブースが閑散としていたのには驚かされた。(アジア・アフリカゾーンも同様) 我々の業界では正に中国は世界の工場としての生産拠点であるが、客観的に見て新素材、新技術を期待されていないと言う事か?対比して数では20%にも満たない日本のブースは黒山の人だかりで技術立国として認知されているのであろう。

このように展示会場は安価な大量生産型と高価・高品質2極分化されていると思われる。日本国内はその大きな渦の中に巻き込まれ もがきながらも高付加価値 少ロット多品種を要求する顧客に対応し生き残りを掛けている。この2極化は益々進行されると思われるが 日々の業務では納期、品質、数量で顧客に確実に答え信頼と満足を得る事が大切と思われる。

後記:


「只今 無事帰国しました」   
(財)東京プラスチック会館 事務局長 永井旭様に帰国の報告をしましたところ「ご苦労様 レポートと報告会を楽しみにしてますよ」と労いのお言葉。
東日本プラスチック製品加工協同組合 事務局長 加藤裕様も『ご苦労様 報告会は視覚に訴えるほうが良いですよ』と温かいアドバイス、さてとばかりに 現地での聞き取りメモと写真・カタログ・サンプル等々の整理を始め 改めて推薦して頂いた事に感謝致しました。
これが異文化に接して受けた衝撃だと興奮をあらたにしました。    
先ず初日教会の鐘の音に目を覚まし 朝食をすませ ホテルを出発する。
8時30分 外は薄暗くまだ夜は明けていない。
西洋画に疎い私にも趣のある家並み風景に しばし うっとりとしました。
会場に到着すると回りは西洋人ばかり、私はただキョロキョロするお上りの東洋人で 何か成果を持ち帰らなくてはと昼食も忘れて30,000歩。言葉も通じず これで高付加価値プラスチック情報の収集、及び業界の将来性と方向性を把握できるのだろうかと不安に駆られました事を懐かしく思い出しました。
最後になりましたが、3日間のうち少なくとも1日くらいは通訳がつくともっと情報収集ができたと思われました。
また、初日デュッセルドルフでの待ち合わせは(出口)とあったが 出口は2ヶ所あり30分以上も心細い迷子になったのは近鉄さんに知らせておこうと思う。
因みに、物価は日本の30%高と聞いておりましたが 6人で、パン、ピザ、スパゲッティー、ビール、ワインを満喫した夕食65ユーロ(11000円)はとても魅力的でした。

以上

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