
1. 応募の目的と派遣先での調査研究事項 |

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(株)オダギリ入社後8年が経ち、プラスチック業界でプラスチックの板・丸棒を中心に携わる仕事をしております。
今回、世界最大規模を誇るK国際プラスチック・フェアを視察することにより、板・丸棒だけでなく、原料・機械・新しい加工技術を知り体感することにより、プラスチック業界全般を少しでも多くの知識を得て、今後の営業活動に活かしたいと思いました。 |

2. 視察の場所 |

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ドイツ・デュッセルドルフにて3年に一度開催されるK国際プラスチック・フェア。
今回で第17回を迎えるK2007は、アメリカのNPE・ 中国のチャイナプラスを出展社数及び来場者数ともに上回る世界最大規模を誇る展示会です。

デュッセルドルフのメッセ会場の17ホール全てを使用し、8日間に渡り開催されていました。
主な展示会場は → 会場案内図参照
青色表示のホール
→ 機械・周辺機器の展示
緑・黄色表示のホール
→ 原料・添加物と半製品・技術部品の展示
赤色のホール(�6の一部)
→ サービス関連

全展示場の広さは、東京ドームグラウンドの約20倍で、3日間 見学しましたが、全ホールを見切れないほどの広さでした。
** K2007 データ
出展国数 59ヶ国 出展社数 3,130社
入場者数 24万2,000人 |
3. 視察の具体的内容 |

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【 展示品 1 - 機械 】
1)射出成型機
≪A社≫
〜スクリューを工夫し、1つの製品に2色の色出しを可能にした射出成型機〜
● 2箇所から原料を入れ、2本のスクリューを一列に並べてつくる射出成型機。
≪B社≫
〜精密な製品を製作できる射出成型機〜
● サーボモータを活用することにより、ミクロン単位の寸法の商品が製作可能。
今回の出展目的は、現況では油圧式の駆動が多いヨーロッパ市場の開拓。
● デモンストレーションでは小型精密コネクターを製作。
とても精密な造りだが不良率はかなり低い。
≪C社≫
〜サーボモータを使用することにより、薄物の製作を可能にした射出成型機〜
● デモンストレーションにてポリカーボネート0.35ミリの携帯電話用導光板を製作。
携帯電話の市場開拓を見込んで展示。
≪D社≫
〜縦横各10メートルほどの大型射出成型機〜
● デモンストレーションでケブラーのような帯状の繊維を入れて、射出成型する
新型機の紹介もありました。車用途と思われます。
≪E社≫
〜ラベル貼りまで一連の作業の中で行う射出成型機〜
● デモンストレーションで薄物のトレーを高速で製作。
ラベルの張り付きも良くできていました。
2) 産業用機械
≪F社≫
〜高速で動く運搬機〜
● 無作為に流れてくるキャップを的確にキャッチし、治具に整頓しながら並べていくロボット。人間の手より早く高速で動いていました。
≪G社≫
〜スピード・正確さに優れた高技術の運搬機〜
● 重量物を反転・回転でき、速く確実な運搬技術をアピール。 他にチェスをしている機械もありました。
3) 接着・板成型機
≪H社≫
〜超音波接着機〜
● 今回の展示会に合わせ新商品を開発。
デモンストレーションでは超音波でABS素材を接着。
小さいものではあるが、少し厚みのあるものも超音波接着を可能にしている。
用途としては、接着剤を使用できない医療器具関連の需要。
≪I社≫
〜ハロゲンヒーター搭載・自動運搬機能を装備した最新の真空成型機〜
● 板成型の代表としての展示。
● 特殊なハロゲンヒーターを使用することにより印刷物も加工可能とのことでした。
価格は高額とのことです。
【 展示品 2 - 製品 】
≪J社≫
〜ポリカーボネートの素材を使用した製品〜
● 車の屋根に使用するポリカ射出成型品
・ 表面をハードコート処理することにより、表面硬度だけでなく光沢感があり、美しい仕上がり。
● ポリカーボネートのレンズ
・ 昨今注目を集めているLEDを拡散させる効果を持つ。
● 染色新技術
・ 日本の染物同様、時間によって色が変化。 グラデーションはもちろんのこと、成型後の染色も可能。
【 展示品 3 - 半製品 】
≪K社≫
〜中空ポリカーボネート板〜
● 厚み50.0ミリの中空ポリカーボネートを製作することに成功。
中の仕切が細かく仕切られた高技術。幅は約1,000ミリが最大。
● 2色でできたポリカボーネートの中空板は日本では見られません。
色の分け目がはっきりした仕上がりでした。
≪L社≫
〜中空板の側面をカバーする部材〜
● カバーの内側に可塑剤でできた層を作ることにより、従来雨水等が入り、
カビ発生の原因となっていたが、それらを一掃する画期的なアイデア商品。
【 展示品 4 - 板 】
≪M社≫
〜アクリルの板等〜
● 日本にない様々な模様の型板。雨の滴れ落ちるさまを表現した様な柄。
40ミリの厚さがあるアクリルマット板。
アクリルの厚い板は、国内では表面に光沢のあるもの・透明色が多いが、デザイン性の違いなのか、表面マットの色透明。
≪N社≫
〜PP・PEのパイプ・丸棒〜
● 外径1600ミリ奥行き500ミリのPPの特大パイプは異型押出しにより製作。
最大で外径1850ミリまで製作可能。
金属に比べコストを抑制し、配水管の継ぎ材として使用。
≪O社≫
〜エンジニアプラスチックの板・丸棒等〜
● カーボンナノチューブを2%POMに混入させ、従来の約30%カーボン入りと同等性能の新商品。
エンジニアプラスチックの開発はヨーロッパが進んでいると思えました。
● 500パイのPOM丸棒。日本では最大サイズが300パイ。
大きくなれば大きくなるほど中心に気泡が入りやすい難しい商品です。 |

4. 視察の成果 |

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ドイツ・デュッセルドルフで今年10月24日〜31日に開催されたプラスチック産業界の世界No.1
展示会 K2007は世界五大陸から3,130社もの企業が出展し、また入場者数も約242,000人と
3年前のK2004を約10,000人上回るほどの盛況ぶりで、活気に満ち溢れていました。
展示内容としての割合は、機械関連が全体の約7割、原料・半製品関連が残りの約3割でした。
機械関連のホールでは、スクリューなどの各種部材から多機能を持ち合わせた機械まで初めて
目にするものが展示され、デモンストレーションを行なっていました。世界のスケールの大きさを
あらためて感じました。
インフレーションの機械など大型のものが並ぶ中、私が特に興味を持ったのは小型精密製品の
製作が可能である射出成型機でした。コントローラやサーボモーターを得意とする会社で、ミクロン
単位の寸法を出すことができる機械を展示していました。デモンストレーションではコネクターを
作っており、生産のスピードと精密さに驚かされました。また、カスタムメイドされた機械も目立ち、一連の流れの中で二つの機能をこなす機械に目を惹かれました。例えば、2色を同時に射出する成型機やラベルを貼った状態で即製品になっているものなど、視点の新しさを感じました。
機械関連の全体の印象としては、日本の展示会ではあまり見ることのない大型機械の展示が多く、各企業がK2007に照準を合わせ新商品を紹介していることもあり、機械関連のホールは特に人手が多く、人波をかきわけての見学になりました。
原料関連のホールでは、PP・PE・ABSの原料、耐熱等の性能を付加させるコンパウンドなども見ることができました。
半製品(プレート等)関連では、エンジニアプラスチックの展示が中心となっていて、アクリル・ポリカーボネート等は少なく感じました。
型板関連では、雨の雫模様などランダムな柄のものがあり、日本の感覚とは違うヨーロッパのデザイン性の遊び心が伺えました。
私が日常携わることの多い半製品ですが、これらのホールの印象として、PPの大型パイプなどの大きさや、アクリルの色調など日本との需要の違いを感じました。
メッセ会場全体としては、その広さは圧巻でしたが、展示ブースの使い方が日本と違い、商談スペースをメインにして展示品が少ない企業が多かったのが印象に残りました。一部のブースでは飲食ができ、本格的バーと見間違うブースもあり、アルコールを飲みながら商談している姿に文化の違いを感じました。
今回のK2007の国別出展社数は、前回のK2004に続き開催国であるドイツが過半数を占めていますが、東南アジア企業の出展数増加が目立ち、中でも中国の41社から154社出展は際立っていました。日本の出展社数は今回27社で、前回の25社からわずかではありますが増えていました。
今回の視察は、「世界」という視点からプラスチック業界に触れることができましたが、初めて目にするものばかりで、その驚きは隠せません。私の携わる分野がプラスチック業界全体の一部にしかすぎないことを認識し、大きな刺激を受けました。また、K2007のコンセプトでもあるイノベーションを体感できたことにより、私の意識の向上につながりました。この経験を今後の業務に役立ていきたいと思います。以上、ありがとうございました。 |
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