財団法人東京プラスチック会館

Tokyo Plastic Kaikan Foundation

 
『ヨーロッパプラスチック工業視察団』に参加して
石井 秀雄
 
 
■モールドマスター社視察

モールドマスター社はホットランナーの製造会社です。
プラスチック成形時に金型にプラスチックが入っていく間に温度が下がって固まらない為に暖めておくヒート部品及びシステムです。(ノズルヒーター、マニホールド等)
40年間、製品や製造方法の研究開発による改良、進歩が激しかった。
1995年 ベリリウムヒーター
1980年 銅合金 1000℃、真空鋳造、
1995年 ニッケル融合ヒーター、金属注入金型技術を使ったホットランナー、
ニッケルペースト:粉体を真空焼成溶着方法、1380℃、SKD66、138キロ、
世界に6箇所の拠点を持ち、全世界の連絡網、短期日納期に対応している。
この部門の世界パテントの50%を持っている。精密で気を使うハイテクの結晶である。今まで見たことの無い分野でした。
 
顧客はVW、ポルシェ、トヨタなど自動車関係で35%。その他電機などである。今後の新方向としてはハイテク新技術を必要とする化粧品関係に魅力を感じている。
自動車部品のテールランプはポリカーボネイトとアクリルで3色一体成形である。境目もわからないほど綺麗に出来ている。昔は別々に成形した物を超音波溶着していたと思う。歯ブラシもラバーとPPの同時成形で20個取りである。高い技術である。
企画設計、金型製造、ホットランナー製造等一貫製造である。金型等は一部外注である。設計にはCAD、CAMで、お客に合わせて2次元、3次元両方使っている。ウイルス対策には、24時間、2人体制である。
今までは、週37時間労働だったが忙しくなって来たので週40時間に成した。月を24.5日で見ている。オフィスワーカーは週10時間までは残業が認められている。
古くから機械工業が盛んなチェコに仕事を出しているようだ。
この会社で、ドイツ特有の面白い教育システムを聞いた。
現工場に対する技術者養成教育制度である。国、会社が費用を負担する。15〜18歳の若人に対して3年間。将来何をやるのか、キャリアーを積ませる為である。工場現場で実地訓練をしながら、学校教育を受ける。この会社では市から派遣されている、元クライスラーで教育をしていたMr.ボンが来ている。卒業試験があり、落第すると6ヶ月後に再試験がある。合格すると他の会社に移る場合がほとんどである。
一般の従業員も3〜5年で職場を変える人が多い。同一業務は同一賃金である。

←「フィシャー社視察」

「まとめ」→
このページのTOPへ↑
財団法人東京プラスチック会館