財団法人東京プラスチック会館

Tokyo Plastic Kaikan Foundation

 
『ヨーロッパプラスチック工業視察団』に参加して
石井 秀雄

主な研究分野:

ビニールカーテンの製造方法と取付について
船橋中央ライオンズクラブ在籍22年。
元会長、元千葉県青少年交換委員長

応募の目的:

ドイツの生活様式及び考え方、街の様子を見たい。
昨年、上海視察に参加が決まっていたが中止になり残念でした。今回、ぜひ実現できるとうれしいです。

派遣先での調査・研究事項:

ドイツにおける塩化ビニールの扱われ方について。
製造行程における、管理方法と注意点又その現状を見たいです。

参加期間:

平成16年10月23日〜30(土)

視察場所:

国際プラスチック+ゴム専門見本市(ドイツ:デュセルドルフ)
及フィシャー社、モールドマスター社

レポート構成:

■2004K国際プラスチック+ゴム専門見本市
■フィシャー社視察
■モールドマスター社視察
■まとめ
■2004K国際プラスチック+ゴム専門見本市

ドイツ・デュセルドルフで3年に1度開催される世界最大のプラスチック国際見本市は、今回(K2004)で第16回目である。
出展は2900社、来場者22万人、展示面積16万平方メートル(幕張メッセの2倍)で広く綺麗で熱気が有った。
出展はヨーロッパを中心にアジア、アメリカ、ブラジル等世界中からである。60%がドイツ以外の会社である。来場者は欧米を初めインド系、アジア系の人々も多く国際色豊かで、開門前から行列が出来て賑やかだった。
会場は以下の4部門に大別されていた。

1.

原材料、補助材料
2. 半製品、工業部品、強化プラスチック
3. プラスチック・ゴム産業の機械及び装置
4. サービス等

である。

展示ブースがぎっしり軒を連ねてあり、私は目移りしてしまうだけで飲み込まれてしまった。
材料関係だけで5棟も有り、サンプル板やペレットを見ただけではどんな違いが有るのか分からず、言葉が分からないことも有って素人の私には理解が難しかった。イタリアのブースではプラスチックで出来たステンドグラスのような洒落た板で飾り付けてあった。15cm位の厚い板材は透明度が高くレンズガラスの様に綺麗だった。

デュポン社では自動車が置いてあった。部品ごとに材料名が書いてあった。プラスチック材料の種類が多く使われている量も多い。
プラスチック部品が50%を越えて金属より多いと思う。
プラスチック材料の進歩発展が凄いのに今更ながら驚いた。

金型関連も自動車部品に対応したものが多く目立った。産業界の目が自動車に向いている。自動車部品は種類も多く、色々な材料を使う。精密で高度な技術を駆使したしっかりした仕事、製品なのだ。凄い。

成形機械関係が広いスペースを占めており、製造方法の多さと数の多さに圧倒された。機械の違いは良くわからなかったが、作っていた製品は色々だった。
飲料用のカップが多く作られていた。
材料だけでも、飛行機の中で出てくる透明なスチレン製、白いPP、発泡した物など何種類も有った。
作り方も射出成形、真空成形等色々である。作るスピードは物凄く早く、一度に出来る製品の数が多い。
成形後の処理の仕方もまちまちで、きちんと揃うもの、ただ落ちる物、風で吹き飛ばすもの等様々で面白かった。 印刷の仕方も多種類で、綺麗で早かった。早いスピードで回りながらカップの周りに綺麗に出来上がった。また半球型のゴムで次々に何個も押来上がして出来上がる物。また射出成形する時に、印刷された物が差し込まれて一体成形されて出る物など、作り方も様々で、工夫がいっぱいであった。
ペットボトル等のプラスチック製品やゴミ等の粉砕機が目に止まった。 これから先ますます必要な機械である。早いスピードで小さい粒になった。軟らかい物をカットするにしては刃の形がゴッツかった。刃で有名なゾーリンゲンはすぐ近いはずだ。


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GEISS社が真空成形機のゴッツイので、雪ソリを作っていた。じっくり聞いたので印象深かった。

1.

6mm厚のプラスチック板(アクリル樹脂だろう、表面処理してあるとのことだった)をスライドして持ってくる
2. ハロゲンランプで220℃位まで熱する、70秒であった
3. 山形に吹き上げられる
4. 下に吸われて、真空成形された、 全自動である コンピューター画面の左側に設定温度、加熱時間等が表記してある。右側には刻々と変わる今の状態が表示される。分り易く安心して見ていられた
5. その後別の機械(CNC施盤)で周りをカットして面取り(トリミング)をした
6. 穴を開けたりした(ウルトラソニックカッティング)。怖いくらいに早くてびっくりした。
 
10mm厚の材料も加工出来る。バスタブを作れる。
凄い機械である。すぐに製品の山が出来そうだ。
制作方法も色々有る。射出成形で作るか、真空成形で作るか、いろんな加工方法を選べる。製品次第ですね。
 
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フィルム製造のインフレーション機が6台以上も出展されていた。色々あって楽しかった。競争の激しさは大変だ。
PE、PPフィルムであった。PVCなのかと思えた。触っただけでは分からなかった。
 

1.

両サイドを開いて左右で巻取っているもの。
2. 色を付けてチューブのまま巻取るもの。
3. 印刷してガゼットを入れて製袋する、持手を付けてバッグが出来上がっていた。
全部の機種もコンピューター制御の全自動機であった。


高周波ウエルダー加工を行っている私にとっては、塩化ビニールフィルム及び加工技術の展示がほとんど無くて寂しかったです。
チバスペシャリティケミカルズ社の塩ビ材料の添加剤で、製品寿命を2倍の20年に延ばすと言う対紫外線安定剤は素晴らしいと思った。
塩ビ製品としては、オシッコの袋、パイプ、針金入りのホース、テープ等が在りました。
高周波ウエルダーを使ってお弁当のパックをいていた台湾の会社が1社有りましたが古臭かった。
同伴者で日本の大手フィルムメーカーの方が、自社では現在付加価値の出る塩ビの多層フィルムに取り組んでいますと話していました。
塩化ビニール(PVC)は古くからの材料である為に、未来に向かった新しい材料、加工技術を見せる今回の博覧会には出展されにくいのだろうか。寂しい。
世界のプラスチック消費の内訳 1億6500万トン
ポリエチレン PE 33.5%
ポリプロピレン PP 19.5%
塩化ビニール PVC 16.5%
ポリスチレン ES、EPS 8.5%
ポリエチレンポリフタレート PET 5.5%
ポリウレタン PET 5.5%
スチレンコポリマー ABS、SAN、ASA 3.5%

「フィシャー社視察」→
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